従来の治療では十分な効果が認められない難治性のアトピー性皮膚炎や円形脱毛症などの疾患に対して、バイオテクノロジーの進歩により複数の有効な治療薬が次々と開発され利用され始めています。日常生活にも支障をきたすほどの強いかゆみで長年悩まされてきた患者さんや広範囲の脱毛で強いストレスを抱えられてきた患者さんたちにとって生活の質(Quality of life)の向上のためにとても期待の持てる治療薬だと考えられます。
当院でも生物学的製剤・JAK阻害剤による治療を行っておりますのでお気軽にご相談ください。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の治療の基本
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原因・悪化因子の検索と対策
悪化因子は、アレルギー反応が関係しているものと関係していないものに分けられます。アレルギー反応が関係しているものには、ダニ、ハウスダスト、食物、花粉などの抗原に対するアレルギー、かぶれなどがあります。アレルギー反応が関係しないものとしては、汗の刺激、せっけんやシャンプー、リンス等の科学的刺激、衣類や髪の毛や引っ掻く等の物理的刺激、精神的ストレスなどがあります。これらの悪化因子は患者さんによって異なりますので、アレルギー検査などによって原因検索を行い、可能な限り明らかになった悪化因子を回避・除去することが大切です。
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薬物療法
アトピー性皮膚炎は改善と再発を繰り返す慢性皮膚疾患です。そのため一時的な治療での完治を目指すのではなく、適切な治療を続けることで症状がコントロールできている状態が維持される「寛解」の状態が最終ゴール地点です。
アトピー性皮膚炎の治療の主体は炎症を抑えるための外用療法です。炎症の程度によって強さの異なるステロイド外用剤や免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏を使い分けし、補助的に抗アレルギー剤や漢方薬の内服などを行います。特にタクロリムス軟膏はステロイド外用剤の長期使用で生じることがある皮膚の萎縮や毛細血管拡張症などの副作もなく、炎症を鎮める強さもステロイドのミディアムクラスと同等ですので、特に顔面や頸部に強い炎症がある患者さんには有効な外用薬です。 -
薬物療法の今後の展望
上述の標準治療を長期間行っているにもかかわらず症状の改善が認めらない難治性のアトピー性皮膚炎の患者さん向けに新しい薬剤が近年続々と開発されています。バイオテクノロジーの進歩により免疫システムのうちアトピー性皮膚炎の発症、増悪に関与する部分だけをピンポイントで効率よく抑制する生物学的製剤やJAK阻害剤などの外用剤、内服薬、注射剤などです。長期にわたりアトピー性皮膚炎で悩まれている患者さんや治療に携わる私たち皮膚科医にとっても、明るい展望が見えてきたと思えます。
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紫外線療法(ナローバンドUVB、エキシマライト)
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スキンケア
スキンケアの意味には清潔のためのスキンケアと保湿のためのスキンケアがあります。特に皮膚のバリア機能を強化するために保湿剤を使用することは、アトピー性皮膚炎の再発・悪化の防止、寛解の維持のために大変重要とされます。
小児アトピー性皮膚炎
小児アトピー性皮膚炎の治療の基本
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原因・悪化因子の検索と対策
悪化因子は、アレルギー反応が関係しているものと関係していないものに分けられます。アレルギー反応が関係しているものには、ダニ、ハウスダスト、食物、花粉などの抗原に対するアレルギー、かぶれなどがあります。アレルギー反応が関係しないものとしては、汗の刺激、せっけんやシャンプー、リンス等の科学的刺激、衣類や髪の毛や引っ掻く等の物理的刺激、精神的ストレスなどがあります。これらの悪化因子は患者さんによって異なりますので、アレルギー検査などによって原因検索を行い、可能な限り明らかになった悪化因子を回避・除去することが大切です。
※当院では、アレルギー検査として、採血が困難な乳幼児に対して比較的簡単に行えるプリックテストを行っています。 -
薬物療法
炎症部位にはステロイド外用薬、タクロニムス軟膏を主に使用し、補助的に抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服を行います。特にタクロニムス軟膏はステロイド外用薬に伴うような皮膚の萎縮や毛細血管拡張といったような副作用もなく、炎症を鎮める強さもステロイドのミディアムクラス〜ストロングクラスと同等ですので、特に顔面、頚部に強い炎症がある患者さんには有効な外用薬です。
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紫外線療法(ナローバンドUVB、エキシマライト)
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スキンケア
スキンケアの意味には清潔のためのスキンケアと保湿のためのスキンケアがあります。特に皮膚のバリア機能を強化するために保湿剤を使用することは、アトピー性皮膚炎の再発・悪化の防止、寛解の維持のために大変重要とされます。
上記3項目は成人型アトピー性皮膚炎と基本的には同じですが、乳幼児・小児においては特に親子関係が非常に重要です。子供に対して過保護になりすぎて、少しでも湿疹を掻いていると「掻いちゃだめ。」と強くしかったりしたときや、子供が親の愛情に飢えている場合、親のささいな言葉や行動に敏感に反応し、発作的に湿疹を掻いてしまうことがしばしば見られます。そのような状況を認識、理解してもらうためにも医師の役割が非常に重要だと考えます。
円形脱毛症
治療法
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局所免疫療法(SADBE療法、DPCP療法)
一般的な内服や外用治療などで効果が認められない場合に行う治療です。頭皮に弱いかぶれを繰り返し起こす治療で、難治性脱毛症や広範囲の脱毛症に対する有効な治療法です。安全性も高く小児の患者さんにも行えます。人によってはかぶれや全身性の皮膚炎を起こすこともありますので注意が必要です。
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グリチロン、セファランチン、抗アレルギー剤などの内服
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フロジン液、ステロイドの外用
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液体窒素冷却療法
液体窒素によって頭皮を刺激して血行を改善させる方法です。
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紫外線療法(PUVA、ナローバンドUVB)
有効な治療法ですが、長期照射による発癌性の問題もあります。より新しいターゲット型紫外線治療器(エキシマライト)は、PUVAやナローバンドUVBに比較して発癌性の危険性も低く良好な治療結果も得られています。
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ステロイド局所注射
皮膚萎縮などの副作用もあるため、難治性の小さな脱毛部に行います。
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ステロイド内服
長期投与により全身性の副作用もあるため、他の治療が効かない難治例や重症例に行います。
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ステロイドパルス療法
発症して間もない患者さんで、なおかつ急激に進行する場合に入院して短期間に多量のステロイドを点滴する方法です。短期間の投与なのでステロイドの副作用は上述のステロイド内服に比較して少ないといわれています。
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JAK阻害剤
免疫システムの一部をピンポイントで効率よく抑制することで脱毛を抑える作用があり、脱毛範囲50%以上、過去6カ月程度髪に自然再生が認められない難治性円形脱毛症患者さんに投与される内服薬です。
治療例
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治療内容
SADBEを2週間に1回頭皮に外用して治療開始6ヶ月後
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費用
総額約12,000円(税込み)
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リスク・副作用
かぶれ、蕁麻疹、全身性の湿疹